【完全ガイド】マイクロ法人設立はfreeeが最適?設立から決算まで全手順を解説

マイクロ法人の設立を検討しており、「freee会社設立」の利用を考えていませんか?

「手続きは本当に簡単なのか」「費用はどれくらいかかるのか」「設立後の会計や決算まで自分でできるのか」といった疑問や不安を抱えている方も多いでしょう。

この記事を読めば、freeeを利用したマイクロ法人設立のメリット・注意点から、準備、登記申請、設立後の税務・社会保険手続き、さらにはfreee会計を使った決算申告まで、必要な全手順を網羅的に理解できます。

結論として、コストを抑え、手続きを手軽にオンラインで完結させたい方にとって、freeeは最適な選択肢です。

本記事では、その理由と具体的な方法を、初心者にも分かりやすく徹底解説します。

結論 マイクロ法人設立にfreeeは最適か

「マイクロ法人を設立したいが、freeeを使うべきか?」
この問いに対する結論からお伝えします。

コストを最小限に抑え、手続きの手間を省きたい個人事業主や副業ワーカーにとって、freeeは最適な選択肢の一つです。
特に、設立後の会計処理まで一貫して効率化したい方には、これ以上ないツールと言えるでしょう。

一方で、事業内容が複雑であったり、設立当初から専門家による節税対策や経営コンサルティングを希望したりする場合は、税理士への依頼も視野に入れるべきです。

この章では、あなたがどちらの選択をすべきか判断できるよう、それぞれのメリットと判断基準を明確に解説します。

コストと手軽さを重視するならfreeeが最良の選択肢

マイクロ法人設立において、あなたが最も重視するのが「費用」と「時間」の節約であるならば、freee会社設立の利用を強く推奨します。
なぜなら、専門家に依頼する場合と比較して、設立費用を大幅に削減できるからです。

具体的にどれくらいの差が出るのか、一般的な設立方法と比較してみましょう。

項目freee会社設立を利用する場合専門家(司法書士など)に依頼する場合自分で紙の定款で設立する場合
定款用収入印紙代0円(電子定款のため不要)0円(電子定款のため不要)40,000円
定款認証手数料約52,000円約52,000円約52,000円
登録免許税150,000円150,000円150,000円
専門家への手数料0円50,000円~100,000円程度0円
合計約202,000円約252,000円~約242,000円

上記の表が示す通り、freeeを利用することで、紙の定款で設立する場合に比べて印紙代4万円が節約できます。
さらに、司法書士などに依頼した場合にかかる手数料も不要になるため、トータルで5万円以上のコスト削減が可能です。

また、費用面だけでなく、手続きの手軽さも大きな魅力です。通常であれば法務局や公証役場へ何度も足を運ぶ必要がありますが、freeeを使えば、画面の指示に従って情報を入力するだけで、設立に必要な書類一式が自動で作成されます。

専門的な知識がなくても、迷うことなく手続きを進められるため、忙しい方でもスムーズに法人設立が完了します。

以下のような希望を持つ方にとって、freeeはまさに最良の選択肢と言えるでしょう。

  • 設立費用をとにかく安く抑えたい方
  • 日中は本業で忙しく、役所に行く時間を確保するのが難しい方
  • 設立手続きをオンラインで手軽に完結させたい方
  • 設立後の会計や確定申告も、同じシステムで効率的に管理したい方

専門家のサポートが必要な場合は税理士への相談も検討

freeeは非常に優れたツールですが、万能ではありません。

特定の状況下では、税理士などの専門家に相談する方が賢明な場合があります。
それは、設立時だけでなく、設立後の税務や経営に関する専門的なアドバイスまで求める場合です。

freeeはあくまで「手続きを代行・補助するツール」であり、個別の事情に合わせた最適な節税スキームや、融資に有利な事業計画の策定といったコンサルティングは提供していません。
もし、以下のような状況に当てはまる場合は、税理士への依頼を検討しましょう。

  • 個人事業からの法人成りで、資産の引き継ぎや最適な役員報酬設定など、税務上の判断が複雑な場合
  • 許認可が必要な事業や、複数の事業目的を定めるなど、定款作成に専門的な知識が必要な場合
  • 設立当初から日本政策金融公庫などからの融資を計画しており、専門家のアドバイスを受けたい場合
  • 経理や税務申告に不安が大きく、設立当初から丸ごと専門家に任せたい場合

税理士に依頼すると、freeeを利用する場合に比べて費用は高くなりますが、その分、専門的な視点からあなたの会社経営を強力にバックアップしてくれます。

設立時の手続き代行だけでなく、その後の顧問契約を結ぶことで、継続的な節税対策や資金繰りの相談、税務調査への対応など、幅広いサポートを受けることが可能です。

どちらの選択があなたにとって最適か、以下の判断軸を参考に検討してみてください。

判断軸freeeがおすすめな人税理士への相談がおすすめな人
費用とにかく安く設立したい初期投資として専門家への費用を許容できる
専門性一般的な内容の定款で問題ない事業内容が特殊、最適な節税スキームを構築したい
設立後のサポート会計ソフトを使い自分で経理を行いたい経理や税務を丸ごと任せ、経営に集中したい
時間と手間オンラインで自分のペースで進めたい専門家に任せて時間と手間を削減したい

まずはfreeeで設立準備を進めてみて、もし定款作成などで難しい部分に直面したら、その時点で税理士に相談するという方法も有効です。

あなたの状況に合わせて、最適な方法を選択しましょう。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

freeeでマイクロ法人を設立するメリットと注意点

マイクロ法人の設立を検討する際、多くの方が候補に挙げるのが「freee会社設立」です。

手軽さとコストの低さで注目されていますが、実際に利用する上でどのようなメリットや注意点があるのでしょうか。

ここでは、freeeを使ってマイクロ法人を設立する際の利点と、事前に知っておくべきポイントを詳しく解説します。

freeeを利用する5つのメリット

freee会社設立を利用することで、時間的・金銭的コストを大幅に削減できます。
特に、一人社長やスモールスタートを目指すマイクロ法人にとって、その恩恵は計り知れません。

具体的なメリットを5つのポイントに分けて見ていきましょう。

設立費用が安い

マイクロ法人設立において、最も大きなメリットの一つが費用の安さです。
専門家(司法書士など)に依頼する場合と比較して、設立費用を大幅に抑えることができます。
freee会社設立は、電子定款に標準で対応しているため、通常は紙の定款で必要となる収入印紙代4万円が不要になります。
freeeのサービス利用料自体は無料であり、発生するのは法定費用(登録免許税や定款認証手数料)のみです。

項目freee会社設立を利用した場合(株式会社)専門家に依頼した場合(株式会社・一例)
定款用収入印紙代0円(電子定款のため不要)40,000円(紙の定款の場合)
定款認証手数料約52,000円約52,000円
登録免許税150,000円〜150,000円〜
専門家への報酬0円50,000円〜100,000円程度
合計約202,000円〜約292,000円〜

※合同会社の場合は登録免許税が6万円〜となり、さらに費用を抑えられます。
このように、freeeを利用することで、設立時の初期投資を最小限にできるのは大きな魅力です。

手続きがオンラインで完結

freee会社設立は、画面の案内に従って必要な情報を入力するだけで、会社設立に必要な書類が自動で作成される仕組みです。
役所に出向く手間や、煩雑な書類作成に悩む時間を大幅に削減できます。
日中は本業で忙しい方でも、空いた時間に自分のペースで手続きを進められるため、時間的な制約を受けにくい点もメリットです。
スマートフォンからも操作が可能で、場所を選ばずに設立準備を進められます。

会計ソフトとの連携がスムーズ

freeeは会計ソフトが主力サービスであるため、会社設立サービスとの連携が非常にスムーズです。
設立時に入力した会社名、事業年度、資本金などの情報は、そのまま「freee会計」に自動で引き継がれ、設立直後からすぐに経理処理を開始できます。
マイクロ法人は設立後の経理や税務申告が重要になるため、このシームレスな連携は、経理業務の効率化に大きく貢献します。
法人用銀行口座やクレジットカードを同期すれば、日々の取引の記帳も自動化でき、手間を大幅に省けます。

サポート体制が充実

初めて法人を設立する場合、多くの疑問や不安が生じるものです。
freee会社設立では、手続きの途中で不明点が出てきた際に、チャットやメールで気軽に質問できるサポート体制が整っています。
また、豊富なヘルプページや設立ガイドも用意されており、多くの疑問は自己解決できるよう工夫されています
専門家ではないけれど、安心して手続きを進めたいという方にとって、このサポート体制は心強い味方となるでしょう。

設立後のタスク管理も簡単

会社設立は登記が完了すれば終わりではありません。
税務署への法人設立届出書の提出、社会保険の加入手続き、法人用銀行口座の開設など、やるべきことが数多くあります。
freee会社設立では、登記完了後に必要な手続きを「やることリスト」として自動で生成してくれます。
これにより、手続きの抜け漏れを防ぎ、設立後の業務をスムーズに軌道に乗せることができます。
何をいつまでにやるべきかが一目でわかるため、初めての法人運営でも安心です。

freeeを利用する際の3つの注意点

多くのメリットがある一方で、freee会社設立を利用する際にはいくつか注意すべき点も存在します。
これらを事前に理解しておくことで、「思っていたのと違った」という事態を避けられます。

すべて自分で判断する必要がある

freeeはあくまで設立手続きをサポートするツールです。
事業目的の具体的な文言、資本金の額、役員構成、決算月の設定など、経営の根幹に関わる重要な項目は、すべて自分自身で調査し、判断する必要があります。
司法書士や税理士に依頼すれば、事業内容に応じた最適なアドバイスを受けられますが、freeeを利用する場合はそのプロセスを自分で行わなければなりません。
節税効果や事業の将来性を見据えた最適な選択ができているか、慎重に検討する責任が伴います。

特殊な定款作成には対応できない

freee会社設立で作成できる定款は、一般的な株式会社や合同会社の設立を想定した標準的なものです。
そのため、現物出資(金銭以外のもので出資すること)や、複数の種類の株式(種類株式)を発行するような、複雑な機関設計や特殊な定款内容には対応していません
もし、このような特殊な要件で会社を設立したい場合は、freeeの利用は適しておらず、司法書士などの専門家に直接相談する必要があります。

設立後の経理知識は最低限必要

freee会計との連携は大きなメリットですが、会計ソフトを使いこなすためには、最低限の経理知識が求められます。
freee会計は直感的に操作できるように設計されていますが、勘定科目の選択や仕訳の基本的な意味を理解していないと、誤った経理処理をしてしまう可能性があります。
「借方・貸方」といった簿記の基礎を少しでも学んでおくと、よりスムーズに運用できるでしょう。
もちろん、freeeの学習コンテンツやサポートを活用して知識を補うことも可能ですが、知識ゼロで完全に丸投げできるわけではない点は理解しておくべきです。

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freee会社設立を使ったマイクロ法人の設立手順

ここからは、実際にfreee会社設立を利用してマイクロ法人を設立する具体的な手順を解説します。

freeeのサービスは、専門的な知識がない方でも画面の指示に従うだけで迷わず進められるように設計されています。

手順は大きく「準備編」と「実践編」の2つに分かれています。

まずは設立手続きを始める前に、あらかじめ決めておくべき事項から確認していきましょう。

準備編 設立前に決めておくべきこと

freeeの画面で入力を始める前に、会社の基本となる重要事項をいくつか決めておく必要があります。
これらの項目を事前に整理しておくことで、設立手続きを非常にスムーズに進めることができます。

会社名や事業目的

会社の顔となる「会社名(商号)」と、どのような事業を行うかを示す「事業目的」は、定款に記載する必須事項です。

会社名(商号):
会社名は自由に決められますが、いくつかのルールがあります。
使用できる文字は、ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字、アラビア数字などです。
また、同一の住所に同じ会社名は登記できません。希望する会社名が使えるかどうかは、法務局の「オンライン登記情報検索サービス」で確認できますが、freee会社設立のサービス内でも商号調査が可能です。

事業目的:
マイクロ法人として行う具体的な事業内容を記載します。
例えば「Webサイトの企画、制作及び運営」「経営コンサルティング業務」など、明確に記載しましょう。
将来的に行う可能性がある事業も、あらかじめ記載しておくことで、後から定款を変更する手間と費用を省けます。
ただし、許認可が必要な事業(建設業、飲食業など)を行う場合は、目的の記載方法に決まりがあるため注意が必要です。

本店所在地:
会社の住所となる場所です。自宅の住所、賃貸オフィス、バーチャルオフィスなどが選択肢となります。
マイクロ法人の場合、コストを抑えるために自宅を本店所在地にするケースが一般的です。

資本金の額

資本金は、会社を運営していくための元手となる資金です。法律上は1円からでも会社を設立できますが、いくつかの点を考慮して金額を決めることが重要です。

まず、設立直後は売上がすぐに入金されるとは限らないため、少なくとも3ヶ月程度の運転資金(事務所家賃、通信費、仕入れ費用など)と設立にかかる諸費用をカバーできる金額を準備するのが現実的です。
対外的な信用度にも影響するため、10万円~100万円程度で設定するケースが多く見られます。

また、税制上のメリットも考慮しましょう。資本金が1,000万円未満の場合、設立から最大2年間は消費税の納税が免除される可能性があります。
マイクロ法人の節税メリットを最大限に活かすためにも、資本金は1,000万円未満に設定するのが一般的です。

法人印鑑の準備

法人の設立登記やその後の契約、銀行口座の開設など、様々な場面で法人用の印鑑が必要になります。
一般的には、以下の3種類の印鑑をセットで準備します。

印鑑の種類主な用途特徴
代表者印(実印)法務局への登記申請、重要な契約書など法務局に登録する会社の実印。通常は丸い形状で、外枠に会社名、内枠に「代表取締役印」などと彫刻されます。
銀行印法人口座の開設、手形・小切手の発行など金融機関に届け出る印鑑。代表者印と区別するため、一回り小さいサイズで作るのが一般的です。
角印(社印)請求書、見積書、領収書など、日常的な書類への押印会社名を彫刻した四角い印鑑。認印として使用され、会社の権威を示します。

これらの印鑑は、印鑑専門店やネット通販で購入できます。freee会社設立のサービス内でも、提携サービスを利用して特別価格で印鑑セットを注文することが可能です。登記申請までに手元に届くよう、早めに準備を進めましょう。

実践編 freeeの画面に沿った設立手続き

必要な準備が整ったら、いよいよfreee会社設立のサービスを使って具体的な手続きに入ります。

画面の指示に従って情報を入力していくだけで、登記に必要な書類が完成します。

アカウント登録と会社情報の入力

まずはfreeeの公式サイトから「freee会社設立」にアクセスし、メールアドレスとパスワードを設定してアカウントを登録します。
登録後、設立する会社形態(株式会社または合同会社)を選択します。
マイクロ法人の場合、設立費用が安く、運営の自由度が高い合同会社が選ばれることが多いです。

次に、準備編で決めた会社の基本情報を入力していきます。

  • 会社名(商号)
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 資本金の額
  • 発起人(出資者)情報
  • 役員情報
  • 事業年度

定款作成と認証手続き

基本情報の入力が完了すると、freeeがその情報をもとに自動で定款を作成してくれます。
定款は会社のルールを定めた最も重要な書類ですが、専門知識がなくても適切な内容のものが出来上がります。

ここで重要なのが、定款の認証方法です。
株式会社を設立する場合、作成した定款は公証役場で認証を受ける必要があります。
freeeでは「電子定款」に対応しており、これを選択することで通常、紙の定款で必要となる4万円の収入印紙代が不要になります。
これはfreeeを利用する最大のメリットの一つです。

freeeの提携行政書士に依頼すれば、定款認証手続きをオンラインで代行してもらうことも可能です。
一方、合同会社の場合は定款の認証手続きは不要なため、このステップは省略されます。

登記書類のダウンロードと押印

定款の準備(株式会社の場合は認証)が完了すると、法務局へ提出するための登記申請書類一式をPDF形式でダウンロードできるようになります。
具体的には、以下のような書類が出力されます。

  • 登記申請書
  • 定款
  • 発起人の決定書
  • 就任承諾書
  • 印鑑届書
  • 資本金の払込証明書

書類を印刷したら、次は押印作業です。どの書類のどこに、誰が、どの印鑑(個人の実印や法人の代表者印)を押すべきか、迷ってしまうポイントですが、freeeでは図解付きの「押印ガイド」が用意されており、その指示通りに作業すれば間違う心配はありません。
また、資本金の払込証明書は、発起人個人の銀行口座の通帳コピーなどを使って自分で作成します。
これもfreeeのガイドに従って準備しましょう。

法務局への申請

すべての書類の準備が整ったら、本店所在地を管轄する法務局に登記申請を行います。
申請方法は主に以下の3つです。

  1. 窓口持参: 法務局の窓口に直接書類を持参する方法。不備があればその場で教えてもらえる可能性があります。
  2. 郵送: 書類一式をレターパックプラスなどで郵送する方法。法務局へ行く時間がない場合に便利です。
  3. オンライン申請: freeeはオンライン申請にも対応していますが、別途ICカードリーダーライタやマイナンバーカードが必要です。

申請の際には、登録免許税を納付する必要があります。
金額は資本金の額によって決まりますが、最低でも株式会社は15万円、合同会社は6万円です。
この税金は、収入印紙を購入して登記申請書に貼り付けて納付するのが一般的です。

書類に不備がなければ、申請日からおよそ1週間から10日ほどで登記が完了し、晴れてマイクロ法人の誕生となります。
登記が完了した日が、会社の設立日です。

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マイクロ法人設立後にfreeeでやるべきこと

法人登記の申請が完了し、無事にマイクロ法人が設立できても、それで終わりではありません。
むしろ、ここからが事業主としての本格的なスタートです。

設立後には、税務や社会保険に関する重要な手続きが待っています。
これらの手続きを怠ると、税制上の優遇措置を受けられなかったり、将来的にペナルティが課されたりする可能性もあります。
しかし、ご安心ください。
freeeのサービスを活用すれば、これらの複雑な手続きもスムーズに進めることができます。

ここでは、法人設立後に必ず行うべき3つの重要タスクを、freeeをどう活用するかも含めて具体的に解説します。

税務署や自治体への法人設立届出書の提出

法人が設立されたことを、国の税務署や地方自治体(都道府県・市区町村)に届け出る手続きです。
これにより、法人として納税義務者であることを正式に知らせます。
特に、税務署に提出する「青色申告の承認申請書」は、欠損金の繰越控除など節税に直結する非常に重要な書類ですので、必ず期限内に提出しましょう。

freee会社設立のサービスを利用した場合、登記完了後の「やることリスト」にこれらの書類作成が含まれており、画面の案内に従って情報を入力するだけで、必要な書類一式を簡単に出力できます。

提出が必要な主な書類と提出先・期限

提出先ごとに必要な書類と提出期限は異なります。
特に期限が短いものもあるため、設立後速やかに準備に取り掛かりましょう。

提出先主な提出書類提出期限
税務署法人設立届出書青色申告の承認申請書給与支払事務所等の開設届出書源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書設立後2ヶ月以内設立後3ヶ月以内 or 第1期事業年度終了日のいずれか早い日事務所開設から1ヶ月以内適用を受けたい月の前月末まで
都道府県税事務所法人設立設置届出書自治体により異なる(例:設立後1ヶ月以内、15日以内など)
市区町村役場法人設立設置届出書自治体により異なる(例:設立後1ヶ月以内、2ヶ月以内など)

※提出期限や必要書類の詳細は、必ず管轄の各役所の公式サイトで最新情報をご確認ください。

社会保険の加入手続き

マイクロ法人であっても、社長一人で役員報酬を受け取る場合は、原則として社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が法律で義務付けられています。

個人事業主時代は国民健康保険と国民年金だった方も、法人成りしたタイミングで切り替えが必要です。

手続きは、管轄の年金事務所で行います。

法人設立から5日以内という非常にタイトな期限が定められているため、登記完了後、真っ先に取り組むべき手続きの一つです。

社会保険加入の主な手続き

  1. 役員報酬の決定:社会保険料は役員報酬の額(標準報酬月額)に基づいて決まります。年間の利益計画や個人の手取り額を考慮して慎重に決定しましょう。
  2. 必要書類の準備・提出:管轄の年金事務所へ以下の書類を提出します。
    • 健康保険・厚生年金保険 新規適用届
    • 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
    • 健康保険 被扶養者(異動)届(扶養家族がいる場合)
    • 法人番号がわかるもの(登記簿謄本など)

これらの手続きは、姉妹サービスである「freee人事労務」を利用することで、書類作成のサポートを受けることが可能です。

役員報酬の決定から社会保険料の計算、給与明細の発行まで一気通貫で管理できるため、マイクロ法人の労務管理に最適です。

法人用銀行口座の開設とfreee会計への登録

法人の財産と個人の財産を明確に分けるため、法人名義の銀行口座(法人口座)の開設は必須です。

取引先からの入金や経費の支払いを法人口座に集約することで、経理処理が明瞭になり、税務調査の際もスムーズに対応できます。

近年では、GMOあおぞらネット銀行や住信SBIネット銀行、PayPay銀行といったネット銀行が、手数料の安さやオンラインでの手続きの手軽さから人気を集めています。

メガバンクや地方銀行に比べて審査がスピーディーな傾向にあるため、マイクロ法人の最初の口座としておすすめです。

freee会計への口座登録と同期設定

法人口座を開設したら、次に行うべき最も重要なステップが「freee会計」への口座登録と同期設定です。
これを最初に行うことで、マイクロ法人の経理を劇的に効率化し、自動化の基盤を築くことができます。

freee会計に法人口座や法人用クレジットカードを同期させると、銀行の入出金明細やカードの利用明細が自動で取り込まれます。
これにより、手入力の手間が省け、記帳漏れやミスを防ぐことができます。
取り込まれた明細に対して、freeeが勘定科目を推測してくれるため、あなたは簡単なルールを設定したり、内容を確認したりするだけで日々の経理が完了します。
この初期設定こそが、確定申告を楽にするための最大の鍵となります。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

freee会計を使ったマイクロ法人の決算申告ガイド

マイクロ法人の設立が無事に完了したら、次に取り組むべきは日々の会計処理と、年に一度の決算申告です。

会計や税務の知識がない方にとっては、この決算申告が最も高いハードルに感じるかもしれません。
しかし、クラウド会計ソフト「freee会計」を活用すれば、専門家でなくても手順に沿って進めることで、決算書の作成から法人税の電子申告までを一人で完結させることが可能です。

この章では、freee会計を最大限に活用し、マイクロ法人の決算申告をスムーズに行うための具体的な手順とポイントを解説します。

日々の経理処理のポイント

正確な決算書を作成するためには、日々の取引を漏れなく正確に記帳することが何よりも重要です。

freee会計の強みは、この日々の経理業務を大幅に効率化できる点にあります。

決算直前に慌てないためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。

銀行口座やクレジットカードとの同期設定

freee会計の最も便利な機能の一つが、銀行口座やクレジットカードとの「同期機能」です。
一度設定すれば、入出金明細が自動で取り込まれ、記帳作業の手間を劇的に削減できます。
取り込まれた明細は「自動で経理」機能により、過去の仕訳履歴から勘定科目が自動で推測されるため、内容を確認して登録ボタンを押すだけで仕訳が完了します。
マイクロ法人の場合、取引件数も限られているため、この機能を活用するだけで日々の経理はほぼ完了します。

役員報酬と社会保険料の処理

マイクロ法人における最も重要な経費は「役員報酬」です。
毎月定額を支払う役員報酬の処理は、freee会計の「給与」機能を活用すると簡単です。
給与明細の作成から、源泉所得税や社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の計算、そしてそれらの預り金処理までを自動で行ってくれます。
給与支払いの仕訳と、預かった社会保険料を納付した際の仕訳を正しく行うことが、正確な経理の基本となります。

取引内容借方貸方
給与支払時役員報酬 300,000円普通預金 250,000円
預り金 50,000円
社会保険料納付時(会社負担分45,000円を含む)法定福利費 45,000円
預り金 45,000円
普通預金 90,000円

自宅兼事務所の家事按分

自宅を事務所として利用している場合、家賃や水道光熱費、通信費などの一部を法人の経費として計上できます。
これを「家事按分」と呼びます。
freee会計には「家事按分」機能が搭載されており、事業で使用している割合(面積や時間など合理的な基準で設定)を一度登録しておけば、対象の費用を支払うたびに自動で事業用と個人用の金額を按分して仕訳を作成してくれます。
これにより、面倒な計算の手間なく、適切に経費を計上できます。

領収書や請求書のデータ化

紙の領収書や請求書は、freee会計のスマートフォンアプリを使って撮影するだけで、日付や金額を自動で読み取り、データとして保存できます。
これは電子帳簿保存法にも対応しており、ペーパーレス化を促進し、書類の保管コストや管理の手間を削減することにも繋がります。

決算整理仕訳と決算書の作成

事業年度の最終日(決算日)を迎えたら、その年度の正確な利益を確定させるために「決算整理仕訳」という特別な処理を行います。
その後、1年間の経営成績をまとめた「決算書」を作成します。

freee会計を使えば、これらの作業もナビゲーションに従って進めるだけで完了できます。

決算整理仕訳の主な項目

freee会計の決算メニューでは、必要な決算整理仕訳がチェックリスト形式で表示されます。
マイクロ法人で特に重要な項目は以下の通りです。

  • 減価償却費の計上: パソコンやデスクなど、10万円以上の資産(固定資産)を購入した場合、その費用は購入した年に全額経費にするのではなく、耐用年数に応じて分割して経費計上します。freee会計の「固定資産台帳」に登録しておけば、決算時に減価償却費が自動で計算され、仕訳も自動で作成されます。
  • 売掛金・買掛金の残高確認: 決算日時点でまだ入金されていない売上(売掛金)や、まだ支払っていない経費(買掛金・未払金)がないかを確認し、正しく計上します。
  • 在庫(棚卸資産)の確認: 物販など在庫を抱える事業の場合、期末に残っている在庫の金額を資産として計上します。

決算書の自動作成

日々の仕訳と決算整理仕訳が完了すれば、freee会計が自動で決算書(財務諸表)を作成してくれます。
主に以下の書類が作成され、これらが法人税申告の基礎となります。

  • 貸借対照表(B/S): 決算日時点での会社の財政状態(資産、負債、純資産)を示す書類。
  • 損益計算書(P/L): 1年間の経営成績(収益、費用、利益)を示す書類。
  • 株主資本等変動計算書(S/S): 純資産の部が1年間でどのように変動したかを示す書類。

法人税申告書の作成と電子申告

決算書が完成したら、いよいよ最終ステップである法人税の申告です。

freee会計と連携する「freee申告」を利用することで、税務の専門知識がなくても申告書の作成から提出までをスムーズに行うことができます。

freee申告による申告書作成

freee申告は、freee会計の決算データをボタン一つで取り込み、法人税申告書を作成するサービスです。
画面に表示される質問に答えていくだけで、複雑な法人税申告書(別表)が自動で作成される仕組みになっています。
マイクロ法人の場合、主に以下のような別表が必要となりますが、freee申告が自動で判断し、必要な書類を生成してくれます。

  • 別表一: 確定申告書の表紙となる部分。法人税額を記載します。
  • 別表二: 同族会社の判定に関する明細書。
  • 別表四: 会計上の利益から税務上の所得金額を計算するための明細書。
  • 別表五(一)、五(二): 利益積立金額や資本金等の額、繰越損益金などを計算する明細書。
  • 地方税(法人住民税・法人事業税)の申告書: 法人税だけでなく、都道府県や市町村に納める地方税の申告書も同時に作成可能です。

電子申告(e-Tax)で提出まで完結

作成した申告書は、freee申告から直接、電子申告(e-Tax)で提出できます。
税務署の窓口へ行く必要も、書類を印刷して郵送する必要もありません。
電子申告を行うためには、事前にマイナンバーカードと、ICカードリーダーライタまたはマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォンを準備しておく必要があります。
申告が完了したら、算出された税額を期限内(原則として事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内)に納付しましょう。
納付もダイレクト納付やクレジットカード納付など、オンラインで完結する方法が利用できます。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

マイクロ法人設立に関するfreeeのよくある質問 Q&A

ここでは、freeeを利用したマイクロ法人設立に関して、多くの方が抱く疑問についてQ&A形式で詳しく解説します。

設立手続きの期間や料金プラン、税理士の必要性など、気になるポイントを解消していきましょう。

設立までにかかる期間はどのくらいか

freee会社設立を利用した場合、すべての手続きがスムーズに進めば、おおよそ1週間から3週間程度でマイクロ法人の設立が完了します。
ただし、これはあくまで目安であり、ご自身の準備状況や公的機関の混雑具合によって変動します。

具体的なステップごとの所要期間の目安は以下の通りです。

ステップ所要期間の目安備考
freeeでの情報入力約1〜2時間会社の基本情報(商号、事業目的、本店所在地など)をあらかじめ決めておくとスムーズです。
法人印鑑の準備即日〜数日オンラインの印鑑作成サービスを利用すれば、最短即日で発送される場合もあります。
印鑑証明書の取得即日発起人全員分の印鑑証明書が必要です。市区町村役場で取得します。
定款の作成・認証約3〜5営業日株式会社の場合は公証役場での認証が必要です。freeeの電子定款機能を使えば、認証手続きもスムーズに進みます。合同会社の場合は認証不要です。
資本金の払い込み即日定款作成後に、発起人個人の銀行口座に資本金を振り込みます。
登記申請(法務局)約1〜2週間法務局に書類を提出してから登記が完了するまでの期間です。法務局の繁忙期にはさらに時間がかかることもあります。

設立期間をできるだけ短縮するためには、法人印鑑や印鑑証明書といった必要書類を早めに準備しておくことが重要です。

freeeのガイドに従って一つずつ着実に進めていきましょう。

freeeのどの料金プランがおすすめか

freeeには「会社設立」のサービスと、設立後の経理で利用する「freee会計」の2つがあります。

それぞれ料金体系が異なるため、分けて考える必要があります。

freee会社設立の料金

「freee会社設立」のサービス利用料は無料です。
ただし、法人設立には法定費用(登録免許税や定款認証手数料など)が別途必要になります。
freeeの電子定款を利用することで、株式会社の場合に通常かかる収入印紙代4万円が不要になるため、設立費用を大きく抑えることができます。

freee会計の料金プラン

設立後の経理処理や決算申告には「freee会計」を利用します。
マイクロ法人におすすめのプランは、事業の状況に応じて「ミニマムプラン」または「ベーシックプラン」です。

プラン名月額料金(年払い)主な機能こんなマイクロ法人におすすめ
ミニマム2,680円〜請求書作成、経費精算、確定申告書類作成(個人事業主向け機能が中心)役員1名のみで、取引が非常にシンプル。
まずはコストを最優先したい法人。
ただし、法人決算機能が限定的なため注意が必要です。
ベーシック5,280円〜ミニマムプランの全機能に加え、決算書作成、法人税申告書作成、年末調整、各種レポート機能などほとんどのマイクロ法人におすすめの標準プラン
税理士に頼らず自分で決算申告まで完結させたい場合に必須の機能が揃っています。
プロフェッショナル47,780円〜ベーシックプランの全機能に加え、部門別管理、複数拠点管理、予算実績管理など従業員が多く、部門管理が必要な規模の法人向け。
マイクロ法人にはオーバースペックな場合が多いです。

結論として、これからマイクロ法人を設立し、自分で決算まで行いたいと考えているなら「ベーシックプラン」を選択するのが最も確実です。
初年度は割引キャンペーンが適用されることも多いため、公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。

設立後に税理士は必要か

freeeを利用する大きなメリットの一つが、経理や税務の専門知識がなくても決算申告まで行える点です。
そのため、事業内容がシンプルなマイクロ法人であれば、必ずしも税理士は必要ありません

ただし、税理士に依頼するかどうかは、ご自身の状況や考え方によって判断が分かれます。

以下にそれぞれのメリット・デメリットをまとめました。

税理士なしで運営するケース

  • メリット: 顧問料(年間数十万円)がかからず、コストを大幅に削減できる。会社の財務状況を自分で直接把握できる。
  • デメリット: すべての経理・税務処理を自己責任で行う必要がある。複雑な税制優遇や節税対策を見逃す可能性がある。本業に使える時間が減る。

税理士に依頼するケース

  • メリット: 正確な経理処理と節税アドバイスが受けられる。税務調査の際にも対応を任せられる安心感がある。経理業務から解放され、本業に集中できる。融資を受ける際に信頼性が高まる。
  • デメリット: 顧問料という固定費が発生する。

freee会計を使えば、日々の記帳から決算申告までを自分で行うことは十分に可能です。
しかし、「税務判断に自信がない」「節税について専門的なアドバイスが欲しい」「とにかく本業に集中したい」といった場合は、税理士への相談を検討すると良いでしょう。
決算申告だけをスポットで依頼する方法や、freeeの操作に詳しい「freee認定アドバイザー」に相談するという選択肢もあります。

まとめ

本記事では、マイクロ法人の設立にfreeeが最適かどうかを、設立手順から決算申告まで網羅的に解説しました。

結論として、コストを抑え、手続きの手間を最小限にしたい方にとって「freee会社設立」は最適な選択肢です。

その理由は、電子定款により設立費用を約4万円節約できる点、オンラインで手続きが完結する手軽さ、そして設立後の「freee会計」とのスムーズな連携にあります。

会社設立という一度きりのイベントだけでなく、その後の経理業務まで見据えた場合、freeeの一貫したサービスは大きなメリットとなるでしょう。

もちろん、すべての判断を自分で行う必要があったり、特殊な定款作成には対応できないといった注意点も存在します。
しかし、この記事で解説した手順に沿って進めれば、一般的なマイクロ法人の設立でつまずくことはほとんどありません。

もし専門的な判断に不安が残る場合は、税理士への相談も視野に入れるとより安心です。

マイクロ法人の設立は、あなたの事業における重要な第一歩です。

この記事を参考に、まずはfreee会社設立の無料アカウントを作成し、具体的な設立準備を始めてみてはいかがでしょうか。

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やりたいと思ったら挑戦したらよいと思います。
起業は厳しい状況の時もありますし、
今は先が見えないので不安も頭をよぎる事もあるかもしれませんが、
一度きりの人生、
自分の人生を後悔しないようにしましょう!